トレーラー運転手は「きつい」といったイメージを持つ方が多く、トレーラー運転手になりたい、興味があるという方にとって、実際に働くトレーラー運転手がどう思っているのか気になりますよね。
実際に働く方が何にきついと感じているのかリアルな情報が分かれば、行動も起こしやすくなり目標に近づくことができます。
そこでこの記事では、15年以上現役トレーラー運転手として働く上で、実際にきつかったと感じたことについて詳しく解説していきます。
また、トレーラー運転手が稼げるのは本当なのか、どんな人がトレーラー運転手に向いているのかまで、合わせて解説していきますので、参考にしてみてください。
トレーラー運転手はきつい?
トレーラー運転手がきついかと聞かれれば「運送会社による」が答えです。
運送会社はそれぞれ輸送する荷物が違うため、会社によってきつさは変わり、楽な会社ときつい会社があります。
どの業界でも同じように元請会社のほうが仕事内容がよく、下請会社のほうが仕事内容がきついことが多くなっています。
運送会社の下請に回される仕事というのは
- 拘束時間が長くなる仕事
- 手作業
などです。
もちろん、すべてきつい仕事が回ってくるわけではなく、元請の運転手にもきつい仕事は回ってきますが、現実として下請の運送会社に回ってくることが多くなっています。
下請けだからきつい仕事が当たり前の風潮
しかし、2024年問題によって働き方改革が行われたことで、拘束時間に関して元請下請関係なく同じ扱いとなり、たとえ下請業者であっても長時間労働はできなくなりました。※もとから拘束時間の違いはないが風潮があった。
また、手作業に関しても積み下ろしに時間がかかり、長時間労働の原因となっていることから、パレット輸送へと業界全体の流れができつつあります。
そのため、業界全体でみると仕事は楽になりつつありますが、きつい仕事を避けたいのであれば、元請の運送会社を選ぶといいでしょう。
- 運送会社によって違う
- 下請けの運送会社のほうがきつい
現役トレーラー運転手がきついと感じるポイントは?
ここでは、トレーラー運転手として15年以上勤務してきた中で「きつい」と感じたポイントについて解説していきます。
20t超の手作業
トレーラー運転手として働いてきた中で、最もきついと感じたことは「手作業」です。
手作業は荷物の積み下ろしをすべて運転手が手で積み込み、配達先で手で下ろすといった仕事内容になり、多くのトレーラー運転手が敬遠する仕事になっています。
筆者自身も過去には多くの手作業に従事してきましたが、年を重ねるにつれきついと感じることが非常に多くなりました。
若いときは平気だったのに・・・
一般的に手作業では飼料関係を扱うことが多く、20㎏×1000袋を手作業で積み下ろしますが、最近では輸送効率の向上を図るためにパレット輸送が増えており、業界全体では減少傾向にあります。
しかし、手作業には手当が付くことが一般的で、2024年問題で残業ができなくなり、残業手当で稼ぐことが難しくなった運転手の間では、手作業手当目的で手作業の仕事を回してもらう運転手が増えています。
不規則な労働時間
トレーラー運転手できついと感じるポイントの2つ目は「不規則な労働時間」です。
不規則な労働時間になってしまう原因は、トレーラーの働き方にあります。
たとえば、一度に多くの荷物の輸送ができる強みを持つトレーラーは、大手宅配便などの拠点間輸送に従事することがあります。
拠点間輸送では日中に集まった荷物を、夜間のうちに次の拠点へと輸送を行うため、夜間運行となります。
また、夜間運行に間に合わなかった荷物は、翌日に輸送を行うので日中の運行になり、夜勤と日勤が交互に来るようなことがあればきついと感じることは多くなります。
昔は夜勤からそのまま日勤もあった!
長時間労働になりやすい
トレーラー運転手のきついと感じる3つ目のポイントは「長時間労働になりやすい」です。
トレーラー運転手に限らず、トラック運転手全体で荷待ち時間が問題になることがありますが、この荷待ち時間がトレーラー運転手の長時間労働の原因となっています。
荷物によりますが、フォークリフトなどで積み下ろしを行う時にかかる時間は30分~1時間程度が目安になりますが、手作業では2時間以上かかることが多くなっています。
そのため、順番待ちで積み下ろしを行う場合には、前のトラックが終わってからでないと積み下ろし作業ができません。
最高で8時間待ったことも(;´Д`)
順番待ちをしているトラックが増えれば増えるほど、荷待ち時間も比例して増えてしまうので、長時間労働につながりきついと感じることがあります。
しかし、働き方改革によって荷待ち時間の解消を荷主や顧客に要求できるようになり、荷待ち時間は少なくなってきています。
会社によっては苦労と収入が合わない
トレーラー運転手がきついと感じた4つ目のポイントは「苦労と収入が合わない」です。
トレーラーは手作業があることもあり、荷待ち時間も長くなりがちです。
一般的にトレーラーの手作業には2000円~5000円程度の手当が付きますが、会社によっては手当なしで手作業をさせる会社もあります。
実際に、筆者が最初に勤めた運送会社ではいくら手作業をしても、手当が付くことはありませんでした。
また、長時間労働になったとしても残業手当はまともに払われることがなく、月の残業時間が100時間を超えても支払われたのは30時間分の残業手当でした。
そのため、会社によっては「苦労と収入が合わない」といった問題に直面してしまうので、未経験者でも可といった求人に安易に飛びつくことはおすすめできません。
止まれる場所がない
トレーラー運転手がきついと感じる5つ目のポイントは「止まれる場所がない」で、トレーラー運転手あるあるです。
その車体の大きさから、どこにでも止まれるわけではなく、止まりたい時に止まれないことが多くあり、きついと感じることがあります。
トレーラーが停車できる場所は、コンビニの駐車場や道路上のパーキングなどになりますが、ほかの車両が停車していると、停車できないことがほとんどで、トイレに行きたくても簡単ではありません。
ト、トイレに行きたい!どこも止まれない!
また、トラック運転手には連続運転に関する法律があり、2時間に15分、4時間に30分の休憩時間を取るように定められています。
しかし、車体の長いトレーラーは停車できる場所が限られており、止まりたい時になかなか止まることができません。
そのため、輸送ルート上で常に停車できる場所を考えながら、運転時間や休憩時間を調整することが必要で、負担は大きくなり、きついと感じることがあります。
トレーラー運転手のメリットは?
トレーラー運転手にはきついことだけではなく、メリットも多くあると感じています。
ここでは、トレーラー運転手として15年以上の経験で感じた、メリットについて解説していきます。
他人とのかかわりが少ない
トレーラー運転手は他人とのかかわりが極端に少なく、人付き合いが苦手な方にとっては非常に大きなメリットです。
トラックはサイズが小さいほうが配達件数も増え、移動距離も短く他人との接点が多くなりますが、最大サイズのトレーラー運転手では他人との接点は極端に少なくなります。
特に中・長距離輸送となれば一日中運転で、誰とも喋らないこともあり得ます。
他人とのかかわりが少ないのが魅力!
また、運行ごとに配車が決まっている場合には、会社の人間ですら何か問題が起きない限り、連絡を取らないことも少なくありません。
そのため、人付き合いが苦手な方にとって、他人とのかかわりが少ないトレーラー運転手は、魅力的なメリットになります。
平均年収が高く稼げる
トレーラー運転手の2つ目のメリットは「平均年収が高い」です。
トレーラー運転手の平均年収 | 約450~600万円 |
トラック運転手の平均年収 | 約453万円 |
日本人の平均年収 | 458万円 |
となっており、トラック運転手全体で見ても日本人の平均年収と比較しても、トレーラー運転手の平均年収が高いことが分かります。
実際に、2023年度の地場トレーラー運転手である筆者の年収は483万円で、業界全体の平均を上回り日本人の平均年収も上回っています。
年収の内訳を詳しくご紹介しますと、転職2年目、年1回の昇給、賞与は年2回、決算手当ありで、月給制の36万5千円。
毎年の昇給が魅力!
中・長距離輸送の時には現金で食事代も支給、通勤手当も別途現金で1万円支給されています。
地場トレーラー運転手として勤務時間も短く、手作業なしでこの待遇であれば何の不満もなく、稼げていると感じています。
また、筆者自身が知っているトレーラー運転手の中には、年収800万円を稼ぐ方も多くなっています。
高い運転技術が身につく
レーラー運転手として働けば働くほど「高い運転技術」が身に付きます。
トレーラーは全長も16メートル以上と長く、死角も非常に多いトラックで、慣れないうちは接触事故も多くなっています。
しかし、経験を積むことで自然と車両感覚も分かりやすくなり、見えない死角を補うため常に確認する癖が付きます。
この癖は、自家用車の運転でも無意識のうちに行っているので、安全運転に役立ちます。
また、トレーラー運転の高い運転技術が評価され、役員運転手やタクシー運転手、バスの運転手など他業種への転職でも有利に進めることができます。
また、同業への転職であれば、大型トラックや希望するトレーラー職への転職も容易に行えます。
そのため、高い運転技術が身に付くトレーラー運転手は、大きなメリットがあります。
トレーラー運転手に向いている人は?
運送業界歴20年以上、トレーラー運転手歴15年以上の経験から、トレーラー運転手に向いている人の特徴は、
- 安全第一で考えられる
- 危険予知ができる
- 慎重すぎる
- トラックをきれいにできる
- 体力に自信がある
- 運転が好き
などが挙げられます。
まず、トレーラー運転手に限らず安全第一で考えられることは必須で、合わせて危険予知運転ができれば事故を未然に防ぐことができます。
また、慎重すぎる人は「だろう運転」をしないので、トレーラー運転手に向いています。
そして、トラックをきれいにできる人の事故率は低く、手作業に必要な体力に自信がある人も向いています。
最後に、運転が主な仕事であるトレーラー運転手は、運転が好きでないと続けていくことはできません。
トレーラー運転手に向いていない人の特徴として、
- すぐにイライラする
- 運転が荒い
といった方はトレーラー運転手に向いておらず、経験上適性がないのでなってほしくありません。
▼もっと詳しく知りたい方はこちら▼
【新人指導員経験者】が思うトレーラー運転手に向いている人の特徴とは?運転センスは必要?
トレーラー運転手の一日を公開!
トレーラーにはデジタコといわれる運行記録計が取り付けられており、運行時間や集配達の時間、休憩時間が記録されるようになっています。
筆者の運行するトラックには、デジタコとアナログ式のタコグラフの両方が取り付けてあり、デジタコのデータは会社で使用しますが、アナログ式のタコグラフのデータは使用していません。
そのため、アナログ式のタコグラフのデータを、トレーラー運転手の一日の働き方や、きつさが分かるように公開していきます。
- 06:30 出庫
- 08:00 配達先到着~荷下ろし
- 09:00 荷下ろし完了~移動
- 10:20 自社倉庫台車切り替え~出発
- 11:40 休憩1時間
- 12:40 移動開始
- 14:15 荷下ろし先到着~荷下ろし開始
- 14:30 荷下ろし完了~移動
- 17:20 帰庫・終業
↓
- 就業時間=6:30~17:20
- 拘束時間=10時間50分
- 運転時間=8時間30分
- 荷積み・荷下ろし時間=1時間
- 荷待ち時間=20分
- 休憩時間=1時間
- 走行距離=321㎞
上記データは、地場トレーラー運転手である筆者の一日で、手作業なし、月に1~3回程度の中距離輸送があり、車中泊になることもあります。
この働き方がきついかと聞かれれば、多くの現役トレーラー運転手は「楽すぎ」と答え、業界歴20年以上の筆者でさえもそう感じています。
しかし、過去にはきついと言われる会社で経験を積み、3回目の転職で今の職を得ています。
転職3回目で楽な仕事に!
そのため、これからトレーラー運転手を目指すのであれば、運送会社選びは非常に重要なポイントで、事前にしっかりと情報収集を行い、後悔のない選び方が必要になります。
未経験でもトレーラー運転手になれる!
トレーラー運転手に興味はあるけど、経験がないからとあきらめる方が多くなっていますが、未経験者でもトレーラー運転手には確実になれます。
もちろん、他業種から未経験といった場合や年齢的な壁は存在しますが、採用を担当した経験上では未経験者でも採用したことがあり、筆者自身も4トントラックまでの経験しかない状態でトレーラー運転手に採用されています。
そのため、未経験だからとあきらめるのではなく、自身の状況に合った方法でトレーラー運転手を目指すことが正解です。
未経験者でも採用されるために必要なことは、
- 必要免許・資格を取得
- 情報収集は念入りに
- 転職エージェントなどの第三者を活用
などが未経験者でもトレーラー運転手として採用されるためのポイントになり、採用率を高める方法になります。
まず、必須免許である大型免許とけん引免許は取得済みにしておくこと。
そして、できるだけ多くの情報収集を行うため、公的機関と合わせてトラック運転手専門の転職支援サイトも利用して求人情報を確認します。
仮にこの時点で自身の通勤範囲内に「未経験者でも可」といった求人がない場合、転職エージェントを利用することも視野に入れて求職活動を行いましょう。
見つからないならほかに頼ることも必要!
転職支援サイト、転職エージェントどちらも未公開求人を抱えていることがあるので、希望に合った求人を見つけられる可能性が高まります。
▼おすすめの転職求人サイトが分かる記事はこちら▼
トラック運転手・ドライバーへのおすすめ転職求人サイト3選!希望にあった求人が見つかる!
下記記事にて、未経験者からトレーラー運転手になるための具体的な方法について解説していますので、気になる方は合わせて読んでみてください。
【元採用担当が解説】未経験者でもトレーラー運転手になれる!採用される具体的な方法とは?
まとめ
トレーラー運転手の仕事は、運送会社によってきつさが異なり、元請会社のほうが仕事内容が楽で、下請会社は拘束時間が長く手作業が多い傾向があります。
しかし、2024年の働き方改革により拘束時間の改善が進み、手作業も減少傾向にあります。
現役トレーラー運転手がきついと感じるポイントは
- 20トン超の手作業
- 不規則な労働時間
- 長時間労働
- 収入と労力の不均衡
- 停車場所の確保困難
などですが、他人とのかかわりが少なく、高い運転技術が身につき、平均年収も高いというメリットがあります。
必要な免許・資格を取得し、情報収集を念入りに行い、転職エージェントを利用すれば、未経験者でもトレーラー運転手になることが可能なので、ぜひトレーラー運転手を目指してください。
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