トレーラーの運転は直進、右左折、バックどれも難しく、うまくいかないと悩んでいませんか。
しかし、難しいといっても何がどう難しいのか分からない方も多いですよね。
トレーラーの運転がうまくなりたいのであれば、難しい理由を知ることが上達する第一歩になります。
そこでこの記事では、トレーラー運転手として乗務したからこそわかる難しさについて解説し、トレーラーの運転のコツや練習方法についても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
トレーラーの運転はなぜ難しいのか?
トレーラーの運転がなぜ難しいのか、その理由は二つあります。
- そもそもの構造が違う
- 車両の大きさ
上記二つが、トレーラーの運転を難しくしている理由であり原因です。
まず、トレーラーの構造は一般的なトラックと違い、トラクターヘッド部分とトレーラー部分に車体が分割されています。
分割された車両はトラクターヘッド部分のカプラーといわれるパーツと、トレーラー側のキングピンといわれるパーツがつながることで連結されます。
これにより、一般車両にはない「折れ点」が車両に生じ、運転自体の難易度が上がってしまうのです。
次に車両の全長や長さを見てみると
車両/寸法 | 全長 | 全幅 | 全高 |
大型トレーラー | 16メートル | 2.5メートル | 3.8メートル |
大型トラック | 12メートル | 2.5メートル | 3.8メートル |
4トントラック | 8.6メートル | 2.2メートル | 2.68メートル |
2トントラック | 4.6メートル | 1.69メートル | 1.99メートル |
大型トレーラーのサイズは全長16メートル、全幅2.5メートル、全高3.8メートルとなっており、全車両中で最も大きなサイズとなっています。
2トントラックと比較してみると全長は約四倍と、車両の長さが際立っていることが分かります。
この車両の長さこそが、トレーラーの運転が難しく感じる2つ目の理由で、車両感覚をつかむまではなかなか思い通りに運転できません。
トラクターヘッドの動きが最大のコツ
トレーラーの運転をうまくするために最も重要なコツは「トラクターヘッドの動き」です。
トレーラーはタイヤの向きではなく、トラクターヘッドの向きでかじ取りを行います。
つまり、トラクターヘッド全体が、タイヤの役割を担っているのです。
- トラクターヘッドの動きが重要
- トラクターヘッド=タイヤ
そのため、バック時にはハンドルを逆に切り、トラクターヘッドの向きを一般的な車両のタイヤの向きと同じようにそろえる必要が出てきます。
これを理解することが、トレーラーを運転する上で最も重要なコツになりますが、多くの方がトラクターヘッドの動きの意味を理解できていません。
トレーラーの運転を早く上達したいと考えているのであれば、トラクターヘッド自体でかじを取っているということを理解し、運転操作に役立てることが必要です。
- トレーラーの構造を理解する
- かじ取りはトラクターヘッド
トレーラーのバック・右左折・直進のコツを紹介!
ここでは、トレーラーのバックや右左折、直進のコツについて解説していきますので、トレーラーの運転が難しいと感じている方は参考にしてみてください。
バックのコツと難しいポイント
トレーラーのバックが難しいと感じてしまう理由は
- ハンドル操作が複雑
- まっすぐバックしない
- 見えない左バック
上記した3つがトレーラーのバックが難しい理由になりますので、それぞれ詳しく解説していきます。
ハンドル操作が複雑
まず、ハンドル操作についてですが、トレーラーでバックする場合には逆にハンドルを切る必要がありますが、この逆にという言葉がハンドル操作を複雑にします。
そのため、まずはトラクターヘッドがタイヤの代わりというイメージを持って、ハンドル操作を行ってください。
トラクターヘッドがタイヤというイメージを持つことができれば、バック中にどちらにハンドルを切ればいいのか分かりやすくなります。
逆ハンドルが難しい!
まっすぐバックしない
トレーラーはそもそもまっすぐバックしないということも覚えておくと、バックがしやすくなるでしょう。
トレーラーは、キングピンといわれる太い棒状のピンをトラクターヘッドが連結することで走行しています。
全長16メートルもあるトレーラーをキングピン一本でつないでいるのですから、まっすぐバックできないのが当然です。
まっすぐバックできないということが分かっていれば、適切に微調整を行うことでバックできるようになります。
まっすぐバックできないのがトレーラー!
見えない左バック
トレーラーのバックを難しくしている原因は「死角の多さ」です。
右バックであれば、直接目視しながらバックできるので比較的楽にバックできることが多いですが、目視できない左バックであれば、難易度は一気に高くなります。
左バックをスムーズに行うためにはコツがあり、意識しながらバックすることで楽に感じることができるようになります。
- 角度は一定に
- 後部窓を利用する
- ゆっくりバックが基本
まず、左バックするときにはトラクターヘッドとトレーラーの角度をつけすぎないこと。
経験が浅い方はどうしても角度をつけすぎてしまう傾向があるので、ミラーにトレーラーが映る範囲内で一定の角度を保ちます。
次に、ミラーに映る範囲以上に角度をつけなければならない時には、トラクターヘッドの後部窓を利用します。
- ミラーと後部窓からよく見る!
- 角度は一定に!
後部窓からトレーラーを直接見ることで、右バックと同じような感覚で下がることができます。
注意点として、浅い角度だとトレーラーの角が邪魔になり目視できないので、ミラーを見ながらバックし、映らなくなったら後部窓から確認するといった順番でバックしていきましょう。
最後に、経験が浅い方あるあるですが、そもそもバックするスピードが早すぎます。
トレーラーはハンドルを切る、トラクターヘッドに角度がつく、トレーラーに動きが伝わる、といった順番で曲がりだします。
一般的なトラックであればハンドルを切ればすぐに車体が同じように曲がりますが、トレーラーではトラクターヘッドに角度がついてから曲がるというような余計な動作が入るのです。
トレーラーのバックがうまくいかないと悩んでいる方の多くは、一般車両と同じ感覚でハンドルを切り、同じスピードでバックしています。
それでは、曲がりだすために余計な動作があるトレーラーではうまくバックできません。
余計な動作を解消するためには
- ハンドル操作を早くする
- ゆっくりバックする
のどちらかになりますが、経験が浅いうちは早いハンドル操作は難しいので、まずはゆっくりバックすることを心がけてください。
左バックについて詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
【初心者向け】トレーラーの左バックを簡単にするコツ11選!プロが実践する方法と手順を紹介!
右左折のコツと難しいポイント
右左折の難しいポイントは、内輪差による脱輪や巻き込み、オーバーハングです。
これらの難しいポイントを攻略するためのコツは「軸タイヤ」を中心にしたハンドル操作になります。
トレーラーには2軸や3軸といった種類がありますが、基本的にはトラクターヘッドに一番近いタイヤが「軸タイヤ」になります。
トレーラーの右左折におけるコツは軸タイヤですが、具体的に軸タイヤをどうすればいいのかというと
- 交差点内に軸タイヤを引き込む
- 縁石や白線に軸タイヤを沿わせる
- トラクターヘッドを伸ばす
上記3つの順番で右左折を行うと、うまく曲がることができます。
例として、交差点を左折するときにはまず、軸タイヤを交差点の折れ点まで引き込みます。
この時、少しだけ気持ち程度にハンドルを左に切ることで、軸タイヤがミラーで確認できるようになります。
軸タイヤが交差点内に入ったら、白線や縁石にタイヤを沿わせるようにしてつかず離れず、一定の距離を保ったまま左折していきます。
最後に、本線にトラクターヘッドが入ったら、本線の右寄りに車体を伸ばし、トレーラーが脱輪しないように縁石や白線から離す必要があります。
新人運転手の指導員として横乗りをすることがありますが、経験が浅い方は「伸ばす」という概念がなく、ハンドルを切ったままでトラクターヘッドを伸ばすことをしません。
その結果、せっかく軸タイヤを中心に右左折を行っても、トラクターヘッドが内側によってしまうことで脱輪してしまうことが多々あります。
そのため、軸タイヤを中心に右左折した後には必ず、トラクターヘッドを伸ばすことを心掛けてください。
- 右左折は軸タイヤを中心に!
- トラクターヘッドを伸ばすことを忘れない!
直進のコツと難しいポイント
トレーラーの直進で難しいポイントは2つあります。
- 左側からの追い越し
- きついカーブ
この難しいポイントを克服するためのコツは
- 同じ場所を走行する
- カーブ手前で減速
になります。
まず、トレーラーの直進で難しいと感じるのは、バイクや自転車などの「左側からの追い越し」に常に備え、注意しておかなければならないことです。
左側からの追い越しはトレーラーだけではなく、トラック全車種で注意が必要なポイントですが、全長16メートルもあるトレーラーでは特に危険です。
仮に、左側からの追い越しをかけられている時に、気づかず少し左に寄ってしまうだけで確実に接触します。
防ぐためのコツとしては、左側から追い越しをかけられない幅を保ったライン取りが必要になります。
次に、トレーラーがきついカーブを曲がる時には2つ難しいポイントがあります。
- トレーラー部分が対向車線にはみ出す
- プラウアウト現象
まず、きついカーブではトレーラー部分だけが対向車線にはみ出してしまうことがあり、仮に対向車が来ていれば、接触事故につながります。
また、カーブを曲がっている最中に誤ったブレーキ操作をしてしまうと「プラウアウト現象」といった危険な状況に陥ることがあります。
プラウアウト現象とは、トレーラーの前輪が滑りハンドルやブレーキの操作が効かなくなる状態のことで、トレーラーがまっすぐ進み続け、制御不能に陥ります。
プラウアウト現象を避けるためのコツは、カーブの手前で減速しておくことで回避できるので、カーブに入る前にしっかりと減速しておきましょう。
- カーブ手前で減速!
- ブレーキ操作は確実に!
難しいトレーラーに運転センスは必要?
難しいトレーラーの運転に運転センスが必要かと聞かれれば、「あってもなくても構わない」というのが、トレーラー運転手歴15年で感じた答えです。
そして、運転センスよりも経験や向き不向きが重要であると考えます。
もちろん、運転センスはないよりもあった方が車両感覚もつかみやすく、難しいバックもすぐにできるようになる運転手がいるのは事実です。
しかし、仮に運転センスがなくても経験することで、できなかったことが必ずできるようになるので全く問題になりません。
運転センスよりも経験と向き不向きが重要!
実際に、新人運転手の横乗りとして乗務し研修を行うことがありますが、その時に運転センスを感じなくても、経験を積んでいくことで問題なく独り立ちしていきます。
トレーラー運転手に必要なことは運転センスではなく、経験と向き不向きです。
現在、トレーラーの運転がうまくできない、うまくならず運転センスがないと悩んでいる方も、必ず運転技術は伸びるので、あきらめず経験を積んでください。
トレーラーの向き不向きや運転センスについてもっと詳しく知りたい方は、下記記事も合わせて読んでください。
【トレーラーのプロ】が思うトレーラー運転手に向いている人の特徴とは?運転センスは必要?
トレーラーのバックがうまくなる練習方法を紹介!
トレーラーのバックに苦手意識を持つ方は多く、克服するためには練習するしかありません。
私が指導員として横乗りをする際にはまず、ハンドルを切る感覚を覚えることのできる練習から始めてもらいます。
なぜなら、初心者の多くがバックする際にどちらにハンドルを切ればいいのか混乱し、わからなくなることが初心者あるあるだからです。
多くの初心者がハンドル操作でつまづきます!
ハンドルを切る感覚を覚えるためには「まっすぐバック」が最も効果的で上達も早くなります。
具体的な練習方法は、まっすぐにバックしないトレーラーを微調整を行いながら、できるだけまっすぐにバックさせるといった練習方法になります。
トレーラーはそもそもまっすぐにバックすることができず、必ず左右どちらかに振りながらバックします。
左右の振りを抑えるためには、逆ハンドルを、多用する必要があり感覚を掴む練習方法としては最適です。
そのため、大きくハンドルを切る必要のある右バックや左バックで練習を始めるのではなく、微調整でハンドルを切る感覚をつかみやすい、まっすぐバックから練習を始めてみましょう。
- まっすぐバックで感覚をつかむ!
- 右バック、左バックは感覚をつかんでから!
まとめ
トレーラーの運転がうまくなるための近道は、難しい理由を知ることです。
難しい理由が分かれば対策も可能で、コツもつかみやすくなり上達するスピードは速くなるでしょう。
トレーラーの運転が難しい理由をしっかりと理解し、練習に役立ててください。
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