現役トレーラー運転手として15年以上の経験から、トレーラー運転手あるあるを11個まとめました。
どの「あるある」もトレーラー特有のものなので、トレーラー運転手がどのように感じ、どのように働いているのか参考にしてみてください。
また、トレーラー運転手の魅力についてもまとめましたので、トレーラー運転手に興味があるといった方は、合わせて参考にしてみてください。
トレーラー運転手あるある11選
ここでは、15年以上のトレーラー運転手の経験で感じた、トレーラー運転手あるあるについて解説していきます。
抜け道よりも遠回り
トレーラー運転手あるある1つ目は「抜け道よりも遠回り」です。
抜け道というのは基本的に狭く、トレーラーにとって走行しにくい道が多くなっています。
そのため、抜け道によっては対向車が来るたびに停車してやり過ごすなどの対応が必要になるので、逆に遅くなることもあります。
仮に抜け道を通行しても数分しか変わらないのであれば、広く気を使わない道路を走行するほうが安全性も高くなります。
そのため、「抜け道よりも遠回り」はトレーラー運転手あるあるです。
トレーラーで狭い道は通りたくない!
手作業と聞くと気持ちがなえる
トレーラー運転手に限らず、全ての車両の運転手は「手作業」と聞くと気持ちがなえます。
特に、トレーラーで手作業となれば20トン以上の荷物を積み下ろしすることになるため、どうしても気持ちが付いていきません。
また、年齢を重ねるごとに手作業がきつくなっていることを実感するので、肉体的にも精神的にもつらくなります。
そのため、手作業と聞くと気持ちがなえるはトレーラー運転手あるあるです。
明日手作業・・・
右左折時にドヤ顔
右左折時にドヤ顔をしているのもトレーラー運転手あるあるです。
周りからは気づかれないように、平常心でハンドル操作をしているふりをしていますが、実は自分のハンドルさばきに酔いながら運転しています。
特に左折待ちや右折待ちで一般車両が停車しているときには、狭くすれすれの状態で右左折しますが、一般車両がリアクションを取ってくれるのが喜びです。
すれ違うトレーラーに驚いていたり、すごいと口にしていたり、拍手しているドライバーも多くいますが、常に平常心を装いドヤ顔で運転しているのは、トレーラー運転手あるあるです。
もっと見て!
トレーラーには道を譲る
トレーラーが右左折待ちや本線に合流しようとしているときには、多少無理をしてでも道を譲りたくなります。
トレーラーは出だしが遅く、流れに乗ることが苦手なトラックで、経験者であればいかに大変かがよくわかるからです。
そのため、トレーラーに乗る者同士で気持ちが分かるので、お互いに同じような気持ちで運転しています。
お先にどーぞ!
できれば右バック
トレーラー運転手は搬入先に入場するときに「できれば右バック」で入場したいと考えています。
これは、左バックができない、難しいという意味で右バックを選んでいるのではなく、安全面を考慮したうえでそう思っています。
ベテランになればなるほどこの傾向は強く、パフォーマンス的なバックはしなくなります。
もちろん、難しいといった事実はありますが、ただでさえ死角が多く接触してしまう可能性が高いトレーラーで、わざわざ危険を冒す必要はありません。
そのため、できれば右バックにするために少し遠回りをしたり、角度を変えたりすることはトレーラー運転手あるあるです。
安全第一右バック!
私生活でハンドルを逆に切る
トレーラー運転手をしていると自家用車でバックするときに、ハンドルを逆に切ってしまうことがあり、トレーラー運転手あるあるです。
トレーラーでバックするときにはまず、車両を曲げたい方向とは逆にハンドルを切って角度をつける必要があります。
トレーラーのハンドルさばきを自家用車でしてしまうと、まったく逆の動きになります。
車が曲がりたい方向とは逆に動き出すのですぐに気づくのですが、トレーラー運転手にとってはあるあるになります。
「あっ」逆だった・・・
止まれる場所がない
トレーラーはその車体の大きさから、止まりたい時にどこでも止まれるわけではありません。
そのため、常に駐車できる場所を考えながら運行しているので、トレーラー運転手あるあるになります。
実際に、道路上の駐車スペースにしても、高速道路の駐車スペースにしても確保はされていますが、数が少なく止めることができません。
本当に停車したい時に、トレーラーの駐車スペースにいる普通車を見ると、本当に考えてほしいと思います。
ここも止まれない、次も・・・
ハンドルスピンナーを付ける
トレーラー運転手の多くがハンドルスピンナーを取り付けており、トレーラー運転手あるあるです。
トレーラーはハンドルを切り込むことが多く、バックする時にも常に微調整を行いながらハンドルを操作します。
そのため、ハンドルスピンナーが付いている方が操作性が高く楽に感じます。
また、ハンドルスピンナーを付けていないと、ハンドルカバーがすぐに破れてきてしまうので、多くのトレーラー運転手がハンドルスピンナーを取り付けています。
ハンドルが回しやすい!
後ろが気になる
「後ろが気になる」もトレーラー運転手あるあるです。
トレーラーの全長は16mもあり、走行中にミラーだけで台車部分のすべてを把握できるわけではありません。
そのため、対向車が不意にパッシングをしてきた時には、「荷物がずれている?」「固定しているワイヤーがほどけている?」など気になります。
また、トレーラーは一般車からよく追い越しをかけられるので、何もないところでも後ろが気になり、ミラーで常に確認するようになります。
そして、後方で何か音がすると、「自分のトレーラーではないか?」「何かに接触した?」と不安に駆られ、どうしても後ろが気になってしまいます。
何のパッシング?何の音?
食料・飲料買い込みがち
先にご紹介した「止まれる場所がない」といったあるあるに影響を受けてのことですが、「食料・飲料」をどうしても多く買い込んでしまいます。
好きな時に止まれないということは、食料や飲料の不安も同時に出てきてしまうので、必要以上に買い込んでしまうのです。
結果として当然余ってしまうのですが、止まることができない可能性を考えると、足りなくなるより余らせてしまったほうが安心できます。
余った食料や飲料は自宅に持ち帰り、家族が消費しています。
不安だから多めに買おう!
トイレが一か八か
他の車両であればあまり気にならないトイレ問題も、トレーラーにとっては一か八かです。
今は大丈夫でも生理現象は突然襲ってきますが、好きな時に好きな場所に止まりにくいトレーラー運転手にとっては死活問題です。
そのため、事前に済ませておくなどの対策は取っていますが、それでも生理現象は突然やってきます。
そんな時には、手のツボを押しながら運転し、止まれる場所まで何とかやり過ごしています。
今は大丈夫だけど・・・
トレーラー運転手になると安全第一になる!
トレーラー運転手になると、安全第一で考えられるようになることはトレーラー運転手あるあるです。
トレーラー運転手としての経験を積むことで、自身が運転しているトレーラーの危険性が分かり自然と安全運転が身に付きます。
例えば、トレーラーにしかない「ジャックナイフ現象」はトレーラーヘッド(運転席)と荷台部分がジャックナイフのように「く」の字型に曲がってしまう現象のことですが、この現象になってしまったトレーラーは操作不能になり、横転や接触事故の危険性が高まり非常に危険です。
主な要因は、スピードの出しすぎ、急ブレーキ・急ハンドル・急旋回などの急の付く行動、積荷の偏り、路面状況などになります。
トレーラーを普通の大型トラックや一般車の感覚で運転すると「ヒヤリ」と感じる場面に必ず遭遇します。
この経験が、トレーラーを運転するうえで安全第一に考えられるようになる要因であり、トレーラー運転手あるあるだといえます。
トレーラー運転手の魅力
ここでは、現役トレーラー運転手15年の経験で見えてきた、トレーラー運転手の魅力について解説します。
トレーラーの運転そのものが魅力
トレーラー運転手の一番の魅力は「運転」そのものです。
トレーラーの全長は16メートル、全幅2.5メートルと全トラックの中でも最大クラスで、その車両を運転する技術ももちろんトップクラスです。
そのようなサイズのトラックを自分の腕で自由に動かしているという感覚は、何物にも代えられず「かっこいい」と15年が経過した現在でも感じています。
15年以上前になりますが、当時「アイス・ロード」という海外ドキュメンタリードラマがあり、氷が張る冬の間だけトレーラーで湖の氷の上を走行し、荷物を輸送するといった内容のものでした。
▼アイス・ロード・トラッカーズ▼
さまざまな問題を解決しながら荷主先までトレーラーを運転し、荷物を輸送するシーンにかっこいいと感動したことは今でもよく覚えています。
そして、このドラマがトレーラー運転手を目指した私のきっかけになっています。
ドラマを見ながらトレーラーの運転は「面白そう・楽しそう・かっこいい」と想像していましたが、実際にトレーラー運転手として働く現在でも、想像した通りかっこよく、面白て楽しいと感じています。
そのため、トレーラー運転手の魅力の一つは間違いなく「運転」そのものだといえます。
- トレーラーはかっこいい!
- 運転が楽しい!
ゆったりとした仕事が多い
トレーラー運転手の魅力の2つ目は「ゆったりとした仕事が多い」です。
私がトレーラー運転手になるまでに経験した職種は、宅配業務や雑貨、冷凍食品、飼料の配送などでしたが、時期や季節によって繁忙期がありました。
繁忙期になると食事をとることができないほど忙しく、休みがなくなることも少なくありませんでした。
しかし、トレーラー運転手に転職してみると繁忙期はあるのですが、過去に経験したような忙しさは、15年が経過した現在まで感じていません。
理由としては、トレーラーはまとまった輸送がメインであること、繁忙期などでは荷待ち時間が発生し、できる仕事が限られることなどが考えられます。
この荷待ち時間は基本的にプライベートに使える時間であり、私は映画を見たり、ユーチューブを視聴して過ごしています。
しかし、荷待ち時間は勤務時間であり、しっかりとした会社であれば待機時間も仕事とみなされ、残業手当も支給されます。
このように、トレーラー運転手にはゆったりとした仕事が多く、大きな魅力の一つだといえます。
- 配達件数が少ない!
- 荷待ち時間は映画やドラマ!
平均年収が高水準
トレーラー運転手の3つ目の魅力は「平均年収が高い」です。
トレーラー運転手の賞与なども含めた平均年収は450万円~600万円となっており、トラック運転手全体の平均年収や、日本人の平均年収を上回っています。
トレーラー運転手の平均年収 | 約450~600万円 |
トラック運転手の平均年収 | 約453万円 |
日本人の平均年収 | 458万円 |
私は現在、転職2年目ですが2023年度の年収は483万円であり、日本人の平均年収やトラック運転手の平均年収を2年目で上回っています。
年一回の昇給があり、賞与や決算は業績次第といわれていますが、昇給は欠かさず年一回必ず行うと取り決められています。
私の働き方は「地場トレーラー運転手」で月に2~3回の中距離輸送があり、車中泊になることもありますが、経験上この働き方で現在の年収、昇給もあるのであれば好待遇だといえるでしょう。
トラック運転手の給料は、基本的に勤務年数ではなく仕事内容やトラックのサイズで決まることが多くなっています。
そのため、最初から日本人の平均年収を上回る収入を得られるということは、大きな魅力となっています。
- トレーラーの平均年収は高い!
- 年収800万円も可能!
▼年収に関する記事はこちら▼
トレーラー運転手の平均年収と給料は?1000万円を稼ぐことができる?
肉体労働が少ない
トレーラー運転手の4つ目の魅力は「肉体労働が少ない」です。
肉体労働が少ないということに関しては、経験者から見ると賛否両論あるかと思いますが、あくまでトレーラー運転手全体で考えた場合のことです。
トレーラーには多くの種類があり、運ぶ荷物も多様で、機械でないと積み下ろしできない荷物も存在します。
実際に私は、スタンショントレーラーに乗務し、積み下ろしにはフォークリフトやクレーンを使用するので、手作業は一切ありません。
しかし、過去に乗務していたセミトレーラーウィング車では、20kg×1000袋を手作業で積み下ろしを行っていました。
- 過去最高は58トンの手作業
20トン超の荷物を人間の手で積み下ろすといった作業は、多くの運転手から敬遠されることが多く、非常にきつい仕事でした。
しかし現在では、輸送効率の向上や拘束時間の短縮のためパレット輸送が多くなってきています。
そのため、業界全体で見ても手作業が少なくなってきており、肉体労働が減ってきていることは大きな魅力といえるでしょう。
- 手作業は業界全体で減少傾向!
まとめ
トレーラー運転手として15年の経験からわかった「あるある」をまとめますと、
- 抜け道よりも遠回り
- 手作業と聞くと気持ちがなえる
- 右左折時にドヤ顔
- トレーラーには道を譲る
- できれば右バック
- 私生活でハンドルを逆に切る
- 止まれる場所がない
- ハンドルスピンナーを付ける
- 後ろが気になる
- 食料・飲料買い込みがち
- トイレが一か八か
をご紹介し、トレーラー運転手は安全第一で考えられるようになるといった、あるあるもご紹介しました。
そして、トレーラー運転手の魅力は
- トレーラーの運転そのもの
- ゆったりとした仕事内容
- 平均年収が高水準
- 肉体労働が少ない
となっています。
トレーラーは他の車両と違い特殊な構造で、あるあるにしても魅力にしても少し変わったものが多くなっています。
トレーラー運転手に興味があるという方は、現役トレーラー運転手がどのように感じているのかを知って、参考にしてみてください。
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