海コントレーラーは日本の物流に欠かせない職業ですが、年収や給料がどれほどなのか気になりますよね。
また、仕事内容についてもよくわからないという方が多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、海コントレーラーの年収や給料、仕事内容について、業界歴22年の経験から詳しくご紹介していきます。
また、海コントレーラーのきついポイントについても合わせてご紹介しますので、海コントレーラーに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
海コントレーラーとは?
海コントレーラーとは「海上コンテナ」を専門に輸送するトレーラーのことで、業界用語で「海コン」と呼ばれます。
専用のトレーラーはシャーシと呼ばれ、四隅にあるツイストロックで海コンを固定し、輸送できる仕組みになっています。
海コンには2つの種類があり、それぞれ長さが違います。
海コンの種類は2つ
- 海コン20フィート
- 海コン40フィート
車種 | 長さ | 幅 | 高さ |
海コン20フィート | 約12メートル | 約2.4メートル | 約2.5メートル |
海コン40フィート | 約6メートル | 約2.4メートル | 約2.5メートル |
日本は輸出入大国であり、貿易相手国上位10カ国の推移(輸出入総額:年ベース)を見てみると、1995年では73兆796億円でしたが、2022年度データでは216兆6768億円と約3倍に増加しています。出典:財務省貿易統計
そして、輸出入を重量ベースでみると99.7%以上が「海上輸送」による輸出入となっています。
海上輸送で用いられる方法は海上コンテナによるものがほとんどで、海コントレーラーの需要は右肩上がりとなっています。
そのため、海コントレーラー運転手の仕事がなくなることはなく、長く働ける環境にあり将来性のあるトレーラー職だといえます。
海コントレーラーの仕事内容と一日の流れ
コントレーラーの仕事内容は海上コンテナ集配やコンテナ内の清掃、返却などが主な仕事であり、運転手が荷物に触れることがないのが海コントレーラーの一番の特徴です。
気になる中身ですが、一般雑貨から家畜用飼料、電化製品や様々な商品の原料までほぼすべての荷物を扱いますが、海コントレーラー運転手の仕事はほぼ運転業務になります。
海コントレーラーの仕事内容は
- 海上コンテナの集配
- コンテナ内の清掃
- コンテナの返却
海コントレーラー関係の覚えておきたい専門用語として、
- バンニング=輸出する荷物をコンテナに積み込む作業
- デバンニング=コンテナから荷物を降ろす作業
- 変版(へんばん)=積み下ろしが終わったコンテナをバンプールに返す作業
があり、上記3つの専門用語を使用して、海コントレーラーの1日をご紹介します。
私が実際に海コンで輸送していた経験のある「稲ワラ」の場合。※配送先は農場
- 03:00 出庫
- 06:30 現着(トラクターヘッドと切り離し、農場の邪魔にならない場所で待機)
- 07:00 デバンニング作業開始
- 08:00 デバンニング作業終了~移動
- 11:30 自社到着~清掃作業
- 12:00 休憩~1時間
- 13:00 コンテナヤードに変版~翌日配送予定の海コンを積み替え
- 14:00 帰庫~終業
デバンニング作業が終わるまで基本的に待機となり、場内が狭ければ切り離して作業終了を待ちますが、邪魔にならないのであれば連結したまま、デバンニング作業終了を待ちます。
遠方での集配作業であれば待機時間が発生しますが、港内作業であれば切り離して別の作業を行うこともあります。
- 海コントレーラーは荷物に触らない!
- 仕事はほぼ運転業務!
海コントレーラーの給料と年収
海コントレーラー運転手の平均年収は400~500万円、給料は30~40万円となっています。
賃金構造基本統計調査によると、トラックドライバーの全国平均年収は463.2万円、月収に換算すると38.6万円となっているので、一般的な平均値内の収入だといえます。
職種\収入 | 平均年収 | 平均月収 |
海コントレーラー | 400~500万円 | 30~40万円 |
トラック運転手全体 | 463.2万円 | 38.6万円 |
全職種 | 443万円 | 27万円 |
平均年収は400~500万円となっていますが、私の知る範囲では年収600万円の海コントレーラー運転手も実際にいます。
その方の働き方は中・長距離トレーラー運転手に属し、夜間輸送がメインとなっているので、平均年収よりも高い収入を得ることができています。
また、出来高払いの運送会社であれば、輸送したコンテナの本数で給料が変わることもあります。
そのため、平均年収よりも高い収入を得たいのであれば、出来高払いの運送会社を選ぶといいでしょう。
海コントレーラーで稼ぎたいなら
- 中・長距離輸送!
- 出来高払いの運送会社!
手作業がないのが海コン最大のメリット!
海コントレーラーは「手作業がない」ことが最大のメリットであり、大きな魅力となっています。
トレーラーの手作業は、ほぼすべての運転手が苦手意識を持ち、敬遠するような仕事で、できるならしたくないと考えることが一般的です。
年齢を重ねるにつれて手作業がきつい!
実際に、手作業を苦に海コントレーラーに転職する経験者も多く、人気の高いトレーラー職となっています。
海コントレーラーの平均年収は400~500万円と、ほかのトレーラー職と比べると若干低くなっていますが、その理由が手作業がないことです。
運送会社にもよりますが、手作業には手当てが付くことが多く、2000~5000円程度が手作業手当として支給されます。
そのため、手作業のない海コントレーラーは、手当もつかないのでほかのトレーラー職と比べて収入が低めとなっています。
- 最大のメリットは手作業がない
- 手作業手当がないので平均年収が若干低い
海コントレーラーのきついポイント
ここでは、海コントレーラーのきついポイントについて解説していきます。
時間帯が不規則
海コントレーラーのきつい一つ目のポイントは「時間帯が不規則」になりがちなことです。
私が実際に経験してきた中では、早出と普通出勤が交互に来たときにはきついと感じました。
早出の日は早上がりできるので、次の日までの時間があり、睡眠時間も確保しやすいのですが、普通出勤で残業があると次の出勤までの時間が短く、睡眠時間が短くなることもあります。
同じ時間帯で働くことができれば、朝が早くても夕方が遅くなっても、慣れてしまえばきつさもなくなり、楽に働くことができるようになります。
しかし、海コントレーラーは集配先によって勤務時間が不規則になることが多く、きついと感じることもあります。
早出と日勤が交互に来るときつい!
待機時間が長い
海コントレーラーのきついポイント2つ目は「待機時間が長い」ことです。
海コントレーラーは荷物に運転手が触れることはなく、積み下ろし専門の作業員がバンニング作業やデバンニング作業を行います。
そのため、作業中は基本的にトラックの中で待機となり、時には長時間の待機時間が発生してしまうのです。
待機時間は荷物にもよりますが、1~2時間ほどかかることが多く、長時間労働につながる原因として問題視もされています。
私自身、待機時間にはユーチューブを鑑賞したり、動画配信サービスで映画やドラマなどを鑑賞しながら過ごすため、苦に感じたことはありませんが、人によっては待機時間が苦に感じる方もいるでしょう。
待機時間はあくまでも仕事中であり、給与の発生する勤務時間でもあるので、マイナスイメージだけを持つ必要はありませんが、海コントレーラーには待機時間が発生することは覚えておきましょう。
私にとって待機時間はプライベートな時間!
海コントレーラーに必要な免許と資格
海コントレーラーに必要な運転免許
海コントレーラーに必要な運転免許は「大型免許」と「牽引免許」の2つが必要になります。
大型免許が取得できる年齢は満21歳以上で、通算運転経歴が3年以上、牽引免許は満18歳以上から取得可能で、普通免許、中型免許、大型車免許、大型特殊免許、二種免許のうちいずれかを所持している方となっています。
- 大型免許は21歳から
- 牽引免許は18歳から
- 視力が、裸眼もしくは眼鏡、コンタクトレンズの使用で両眼0.8以上、片眼0.5以上。
- 三桿(さんかん)法の奥行知覚検査器により、2.5メートルの距離で3回検査し、誤差の平均が2センチメートル以下であること。
- 信号機の色(赤・青・黄)が識別できること
- 10メートルの距離で90dBの警報機の音が聞こえること。(補聴器の利用も可能。)
- 自動車の運転に支障をきたす身体障がいがないこと
などが免許取得条件として定められています。
取得費用は取得方法によって異なり、
- 教習所では所持免許によって21~35万円程度
- 一発試験であれば18,000円
- 教習所では10万円強
- 一発試験では6000円程度
どちらの免許も一発試験の方が費用を抑えることができますが、難易度が高いので教習所で取得するほうが確実です。
転職するなら大型・牽引免許ともに取得済みが有利!
必要な資格
海コントレーラーは自分で荷物に触れることがないので、特に必要な資格はありません。
しかし、転職を希望する運送会社が海コン専門の運送会社ではない可能性があるので、「フォークリフト運転技能講習」は所持しておく方が、転職には有利に働きます。
フォークリフト運転技能講習は、満18歳以上であればだれでも受講可能で、所持している運転免許によって1万~4.7万円程度が取得費用として必要になります。
フォークリフト運転技能講習はトレーラー運転手だけでなく、トラック運転手全般で必須とされている資格なので、所持していないのであれば早めの取得がおすすめです。
海コントレーラーへの転職を成功させる方法
海コントレーラーへの転職を成功させたいのであれば、情報収集は確実に行ってください。
海コントレーラーは需要も高く「未経験でも可」といった求人が見つかる可能性の高いトレーラー職ですが、中には経験者が敬遠するような運送会社も含まれている可能性があるので、注意が必要です。
経験者が敬遠するような運送会社は、長時間労働や休日出勤など、いわゆる「ブラック」と呼ばれるような環境がうわさされるような会社です。
そのような運送会社を避けるためには、事前の情報収集が必須となります。
情報収集の方法
- ハローワークなどの公的機関
- 大手求人サイトの活用
- 運転手専用の求人サイト
上記3つの方法を使用して、以下の情報をしっかりと確認してください。
- 欠員募集か増員募集か
- 各サイト別の非公開求人情報
- 平均年収に関する情報
まず、欠員よりも増員募集のほうが運送会社として将来性が期待できるので、しっかりとチェックしましょう。
次に、複数の求人サイトを利用して求人情報を収集していきます。
複数の求人サイトを利用する理由は、各求人サイトによって「非公開求人」があり、一つの求人サイトではすべての求人情報を見つけることができないからです。
最後に、海コントレーラーの平均年収である400万~500万円と大きく乖離していないかを確認してください。
仮に、海コントレーラーの平均年収を上回る700万円といった運送会社であれば、何か理由があるから年収が高く設定されている可能性があります。
このように、海コントレーラーへの転職を成功させたいのであれば、事前の情報収集は重要になるので、しっかりと調べて転職活動を行いましょう。
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まとめ
海コントレーラーは、輸出入大国の日本にとってなくてはならない存在であり、将来性の高いトレーラー職となっています。
トラック運転手が敬遠する手作業がないため、平均年収は若干低めですが、仕事が切れることはなく、安定した収入が見込めます。
トレーラーの中では需要も高く、必要な免許さえ所持していれば未経験者でも転職することは難しくありません。
転職前にしっかりと情報収集を行い、海コントレーラーへの転職を成功させてください。
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