- トレーラー運転手に向いている人は?
- トレーラー運転手に向いていない人は?
- 運転センスがないとトレーラ運転手に向いていない?
トレーラ運転手に興味がある方にとってこの疑問は、非常に重要なポイントですよね。
私は、トラック運転手として軽配送~大型トレーラーまで経験し、20年以上乗務してきたなかで、指導員として新人ドライバーの教育もおこなってきました。
その経験の中で「この人はトレーラ運転手に向いている」「この人はトレーラ運転手としての適性はないかも」と感じる特徴があります。
そこでこの記事では、トレーラ運転手に向いている人の特徴や、向いていない人の特徴について業界歴20年以上、トレーラー運転歴15年の経験をもとに解説していきます。
また、トレーラーの運転にセンスが必要なのかについても解説していきますので、参考にしてみてください。
トレーラー運転手に運転センスは必要なのか?
現役トレーラー運転手目線でトレーラー運転手に運転センスが必要かどうかと言われれば「あってもなくても構わない」が答えです。
そのため、運転センスがないとトレーラー運転手に向いていないということは一切ありません。
なぜならば、大型トレーラーの運転に必要なことは「経験」だからです。
もちろん、最大サイズの車両の運転になるので、センスがあった方が運転方法や車両感覚をつかむのは早くなるでしょう。
しかし、運転センスがある方はトレーラーの運転が簡単だと勘違いしやすく、接触事故や貨物事故を起こしてしまうことが良くあります。
トレーラーは全長16m以上で車幅が2.5m。全高が3.8mと最大サイズで、そもそもの運転方法も違い、運転センスがあるからと簡単に運転できるものではありません。
実際に、トレーラー運転手として15年以上の経験がある私でも、いまだにトレーラーの運転が難しいと感じることもあり、経験のない方や短い方が「運転センスがない」と感じて不安になることはありません。
トレーラーの運転に必要なことは経験であり、運転方法や車両感覚は経験を積むことで、誰でも身につけることができます
そのため、トレーラーの運転に最も必要なことは経験で、運転センスはかならずしも必要にはならないといえるでしょう。
元指導員が感じたトレーラー運転手に向いている人の特徴とは?
ここでは、指導員として新人運転手の横乗り経験で感じた、トレーラー運転手として向いている特徴について解説していきます。
安全第一で考えられる
トレーラー運転手として向いていると感じる特徴1つ目は「安全第一」です。
なぜなら、トレーラーはその車両の大きさから少しのミスでも大事故につながりやすく、被害も大きくなるからです。
安全を重視しているかどうかは、横乗りをすればすぐに分かります。
スピードの出しすぎ、急ハンドル、車間距離を取らないなど、車両総重量も重く、制動距離の長い大型トレーラーでは、すべて危険な行為です。
もちろん、これらのことは一般車でも同じことですが、トレーラーでは特に危険で、安全を第一に考えた運転ができる人がトレーラー運転手には向いています。
危険予知ができる
トレーラー運転手に向いている人の特徴2つ目は「危険予知ができる」人です。
なぜなら、トレーラーは回避行動すべてに時間がかかり、急には止まれないからです。
危険予知とは
- 車が出てくるかも
- 前を走る車両が急停車するかも
- 対向車が急に右折するかも
など、先読みして運転することで事故を未然に防ぐための予知です。
トレーラーに限らず運転手として危険予知ができている人は、圧倒的に事故率が低くなっていますが、事故が少ない運転手は自然にこの行動が身についています。
実際に、横乗り指導員として乗務している時に、常に周囲を確認し、いつでも止まれるように車間距離を保っていたり、右左折してきそうな車両があればアクセルから足を離し、ブレーキに足を置くなどの行動をしている人は、安心して見ていられます。
そのため、危険予知ができている人はトレーラーの運転に向いているといえるでしょう。
慎重すぎる人
トレーラーの運転に向いている人の特徴3つ目は「慎重すぎる」人です。
なぜなら、トレーラーはトラクターヘッドとトレーラーが別の動きをするため、死角が多く見えない場所や見えないものが多くあるからです。
実際に、バック中にヘッドを右に折った状態で角度が付くと、左側のミラーにはトレーラー部分はまったく映りません。
慎重な運転手であれば、いったん降車して目視を行い安全性を確かめますが
- 当たらないだろう
- 入るだろう
- いけるだろう
といったような、慎重さのない「だろう運転」をする人は必ず接触事故を起こします。
トレーラーの運転経験が長くなればなるほど、慎重に運転するようになりますが、それはトレーラーの運転手として経験を積むことで「だろう運転」が通用しないことが分かるようになるからです。
そのため、トレーラーの運転では慎重すぎるぐらい慎重にするのがちょうどよく、接触事故や巻き込み事故などの危険を回避することができるので、慎重すぎる人はトレーラー運転手に向いているといえます。
トラックをきれいにできる
トレーラー運転手に向いている4つ目の特徴は「トラックをきれいにできる」人です。
なぜ、トラックをきれいにできる人がトレーラーの運転手に向いているのかというと、トラックがきれいな人は事故率が低いからです。
これは、普通車でもいえることなのですが、きれいな車に乗っている人の事故率は、汚れた車に乗っている人に比べて低くなっています。
公益財団法人交通事故総合分析センターの調査によると、車両の整備不良が原因で発生した事故のうち、車内の清掃不足や調整不良が運転手の視界や操作に影響を及ぼしたケースが、全体の65%に達していることが分かっています。
トラックが汚いことで具体的に高まる事故リスクとして
- 視認性の低下
- 信号や標識の誤認
- メンテナンスでの見落とし
- 散乱したゴミによるブレーキ操作不能
など、汚いことで直接事故につながる危険性が高まります。
実際に、業界歴20年以上の経験から見ても、トラックがきれいな運転手ほど事故が少なく、汚れたトラックに乗っている人ほど事故を起こしている回数が多くなる傾向があります。
トレーラーで事故を起こせば、大きな事故になり最悪の場合、人命にもかかわります。
そのため、トラックをきれいにしておける人は、トレーラー運転手に向いているといえるでしょう。
体力に自信がある
トレーラー運転手に向いている人の特徴5つ目は「体力に自信がある」です。
トレーラー運転手の仕事は中・長距離輸送が含まれ、長時間の運転業務があり体力に自信のある方のほうが向いています。
また、手作業であれば20t以上の荷物を積み下ろしすることがあり、体力に自信がある方でないと手作業はできません。
実際に、横乗り期間中に手作業をすることがありますが、多くの新人運転手が「きつい」と感じており、多くの手作業に従事してきた筆者でさえも、年齢とともにきつさを実感します。
そのため、トレーラー運転手に向いている特徴の一つが体力に自信がある人となります。
運転が好き
トレーラー運転手の仕事は運転であり、運転が好きでないと務まる仕事ではありません。
なぜなら、トラック運転手の仕事は、トラックのサイズが大きくなれば配達件数は減り、移動距離が長くなるのが一般的だからです。
中・長距離輸送がメインのトレーラー運転手であれば、1日に500キロメートル以上も輸送することもあり、体力的にはもちろんですが、運転自体が好きでないと続けていくことは難しいでしょう。
トレーラー運転手に向いている人の特徴や、向いていない人の特徴はいくつかありますが、根本的に運転が好きということはトレーラー運転手にとって重要であり、向いている人の特徴になります。
トレーラー運転手に向いていない人の特徴
ここでは、トレーラー運転手に向いていない人の特徴について解説していきます。
すぐにイライラする
運転中に少しのことで「イライラしてしまう人」は本当にトレーラー運転手に向いていません。
一般車から見るとトレーラーは出だしも遅く、荷物を積み込んだ状態であれば坂道も登らないため「邪魔もの」として見られ、急な割込みや無理な追い越し、あおり運転などは日常茶飯事で珍しいことではありません。
しかし、気が短くイライラしやすい人は、クラクションを鳴らして威嚇したり車間距離を詰めたりと、プロドライバーとしては恥ずかしい行為をしてしまうことが多くなっています。
ですが、トレーラーはその大きさから少しの判断ミスが大きな事故につながり、時には人命にかかわるようなことにもなりかねません。
そのため、すぐにイライラしてしまう人はトレーラー運転手に向いていないし、なってほしくありません。
運転が荒い
運転が荒い人もトレーラー運転手には絶対に向いていません。
業界歴20年以上のキャリアの中で、運転が荒い人というのはトレーラー運転手に限らず、すべてのサイズのトラックで事故率が非常に高くなっています。
また、運転が荒いと事故率が高くなるのはもちろんですが、急ブレーキによる荷崩れや破損など、貨物事故の可能性も合わせて高くなります。
実際に、横乗り期間中に運転の荒さが目立つ運転手には、慎重な運転を心掛けるように指導していきますが、運転の癖というのはなかなか抜けません。
結果として、貨物事故を起こしてしまうことが非常に多くなっており、運転が荒い人はトレーラー運転手に向いていないといえます。
現役運転手として感じたトレーラー運転手のメリットとデメリット
現役トレーラー運転手として、乗務してきた中で感じたメリットとデメリットは
- 給与水準が高い
- 配達件数が少ない
- 運転時間が長い
- 人とのかかわりが極端に少ない
などがあり、給与水準が高く一日の配達件数も1~2件が平均で、繁忙期に入ったとしても配達件数が宅配便のように大きく増えるようなことはありません。
また、トレーラー運転手には運転が好きな人が多くなっていますが、筆者自身も同じでトラックの運転が好きです。
そのため、運転時間の長いトレーラー運転手の仕事はメリットになっています。
さらに、運転時間の長いトレーラー運転手の仕事は他人との接触が極端に少なく、人付き合いが苦手な方にとっては、非常に大きなメリットになります。
- 労働時間が不規則になりがち
- 荷待ち時間がある
- 手作業がきつい
などが挙げられますが、トレーラー運転手の仕事は中・長距離輸送が主な業務で、どうしても労働時間が不規則になりがちで、体力的にきついと感じる場面が少なからずあります。
そして、トレーラーの仕事では荷待ち時間が発生することも多く、場合によっては長時間労働につながる可能性もあります。
また、筆者が経験してきたトレーラー運転手の仕事内容で、一番きついと感じたのが手作業です。
トレーラーの最大積載量は20~23tほどあり、仮に20kgの荷物をトレーラーに積み込む場合、1000個の荷物を手作業で積み込まなければなりません。
手作業が原因で転職する方も多くいるので、トレーラー運転手に興味があるのであれば、注視しておくべきポイントです。
しかし、過去から現在まで15年の経験をトータルで考えて、トレーラー運転手になったことに後悔はなく、むしろ良かったと感じているので、メリットの方が大きいと感じています。
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トレーラー運転手に未経験でなるには?
トレーラーの運転手には経験がないとなれないと思っている方は多いですが、実はトレーラー運転手には経験がなくてもなれます。
なぜなら、筆者自身が4t車までの経験しかない状態で、トレーラー運転手として採用されているからです。
もちろん、最初から自身の希望する職種には就けないかもしれませんが、選ばなければ未経験者でもトレーラーの運転手に採用されることは難しくありません。
そのため、未経験でトレーラー運転手を目指すのであればまず、大型免許とけん引免許は取得済みにしておくこと。
そして、フォークリフトや玉掛などの資格を取得しているとさらに採用率は高くなります。
しかし、他業種から未経験でトレーラー運転手になりたいと考えているのであれば、すぐにトレーラー運転手として採用されることは難しいでしょう。
そのため、他業種からトレーラー運転手を目指すのであればまず、運送業界に転職し同業からの転職になるよう経験を積む必要があります。
また、自身の希望する転職先が見つけられない時には、トラック運転手に特化した転職支援サイトの活用や、転職エージェントを利用するという考え方も必要になります。
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まとめ
トレーラー運転手に向いている人の特徴として
- 安全第一で考えられる
- 危険予知ができる
- 慎重すぎる人
- トラックをきれいにできる
- 体力に自信がある
- 運転が好き
トレーラー運転手に向いていない人の特徴として
- すぐにイライラする
- 運転が荒い
以上がトレーラー運転手の向き不向きの特徴となります。
トレーラー運転手に興味があり働きたいと考えているならば、メリットやデメリットをしっかりと理解し、ご自身に合ったトレーラー運転手を目指してください。
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